2014年05月12日
「李歐」のこと
高村薫作「李歐」を再読した。何度目かの再読になる。大阪に一時復帰して二回目になる。桜の季節に読みたくなる小説だ。
まずもって不思議な小説だ。ハードボイルドの体裁をとりながら、実は男と男の恋愛小説だ。といっても、男色小説でもない。といっても、やはり男同士の友情の物語ではない。主人公の一彰と李歐に友情が芽生えるような動機は存在しない。一彰がなぜ李歐という男に固執するか、はっきり描かれていない。狂っているようにさえ思える。ゆえに、これは恋なのだ。恋に理屈はない。それは発火するほどの熱だ。拳銃の話も、国家間のスパイの話も、終わってしまえばどうでもいいようにさえ思う。この小説を好きな人々は、熱に浮かされた経験のある人物なのだろう(それは僕自身も例外ではないのだろう)。
まずもって不思議な小説だ。ハードボイルドの体裁をとりながら、実は男と男の恋愛小説だ。といっても、男色小説でもない。といっても、やはり男同士の友情の物語ではない。主人公の一彰と李歐に友情が芽生えるような動機は存在しない。一彰がなぜ李歐という男に固執するか、はっきり描かれていない。狂っているようにさえ思える。ゆえに、これは恋なのだ。恋に理屈はない。それは発火するほどの熱だ。拳銃の話も、国家間のスパイの話も、終わってしまえばどうでもいいようにさえ思う。この小説を好きな人々は、熱に浮かされた経験のある人物なのだろう(それは僕自身も例外ではないのだろう)。
Posted by 仲村オルタ at 22:57