2019年12月30日

2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)

 今年一年は偶然のユーチューバーデビューをしたために、ブログ更新はほとんど出来なかった。この記事も3月以来となるのだが、来年はユーチューバー事業だけでなく、ブログ事業も起こそうかどうか思案中。昨年同様に年末駆け込みでみたDVDや配信動画を含め、60本以上の映画を観ている。そこで、本来はトップ20に入りそうな作品や、極私的評価はあまり高くないが一言いいたいもの、などをまず「語られるべき圏外作」として紹介する。
 対象作品は、原則、劇場公開が2018年12月1日から2019年11月30日までの公開映画だが、2019年11月27日よりNETFLIXにて配信開始したマーティン・スコセッシ監督「アイリッシュマン」は、配信開始が30日ギリギリかつ筆者の住む沖縄での劇場公開が12月下旬であったことも考慮して、2020年枠にいれることとした。

語られるべき作品(以下掲載順は順位ではない)

◆アベンジャーズ エンド・ゲーム ★★★ 
 アベンジャーズの最終章は、世界最高収益をあげているという。一方で、自作の宣伝かもしれないが、マーティン・スコセッシはあんなもの映画ではなく、テーマパークだ、という。スコセッシの言わんとしたいこともわからなくもないが、この映画のラスト近くの総決戦で、キャプテン・アメリカが「アベンジャーズ、アッセンブル」と叫ぶ場面は爽快だった。この映画といい、スパイダーバースといい、多元宇宙を描くものがこのところはブーム?のようだが、タイムパラドックスに慣れた僕としては、なんだかすっきりしない。
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)

◆IT チャプター2 ★★★
 ITチャプター1は、冒頭のシーン(主人公ビルの幼い弟ジョージーがペニーワイズに殺されるシーン)を見ることができずに、飛行機の中でその先に進むことが出来なかったのだが、昨秋のチャプター2公開前にその場面を克服し、先に進むことが出来たので、無事このチャプター2は映画館(IMAX)で見ることが出来た。90年頃にテレビ映画で製作されたITでは、ITは人々が抱く恐怖の象徴から「ある姿」に具現化されるのが少し残念だったのだが、この新しいITではどうなるのかを見届けたかった。結論的には、今回の新しいITのほうが好感が持てた。IMAXで観ると、闇に深みがあり、音も迫力があってよかった。沖縄にIMAX映画館ができてほんとうに良かった。
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)

◆グリーンブック ★★★
 アカデミー賞作品賞受賞。悪くはないが、設定といいエンディングといい予定調和で驚きがない。アカデミー賞はたいていこちら側にいるが、ときどきあちら側にふれる時がありそういうときは好みが一致する。そう、シェイプ・オブ・ウォーターや、アメリカン・スナイパーのように。
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)

◆ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ★★★
 出た、タランティーノお得意のラスト数分を語りたいための映画が。この映画の場合、全体が160分ある映画のうち、言いたいことが描かれるのはラスト13分あまり。シャロン・テート事件をなかったことにしたいだけの映画だ。ここまでの150分は一体なんだったんだと言いたいが、過剰なまでに饒舌で飽きさせないタランティーノ節は健在。極私的には、同じ手法であれば「デス・プルーフ」のほうが好みだ。もう一度ストーリーを書いてほしいが、そんなことにはもう興味もないのだろう。あと1本撮ったら劇場映画引退となるらしいが、NETFLIXならどうなるのだろう?
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)

◆スパイダーマン スパイダーヴァース ★★★
 もしかしたら、並行宇宙論のほうがいまは主流なのかもしれない。スパイダーマン映画最高傑作という評価もわからなくもない。映画の定石である、主人公の成長もある(葛藤はあまりない)。音楽も格好いい。意外な仕掛けもある。ただ、物語に並行宇宙を持ち込んでしまうと、結局なんでもありなんじゃないかと思えて仕方がない。すっきりしないままトップ20入りはならなかった。
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)

◆マーウェン ★★★
 ロバート・ゼメキス監督によるミニチュア模型写真家マーク・ホーガンキャンプの実話に基づく映画。批評家も、興行成績も散々だが、イマジネーションのうちにあるマーウェンの世界と、現実世界の境界を曖昧に描くことで、観ているものも現実と幻想を行き来し、あれこれ思いに耽ることができる。あとはマーク・ホーガンキャンプの写真が素晴らしいので、その印象に引き上げられるということはあるのだろう。
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)

◆アス ★★
 これは好きなほうの映画ではない。監督ジョーダン・ピールはこの映画も、前作「ゲット・アウト」も評価されているが、どうやら相性が悪いらしい。二本続けて相性が悪かったので、次はおそらく(少なくとも映画館では)観ないと思う。
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)


◆半世界 ★★★
 どついたるねん、ビリケンなどザ・ナニワ映画を撮る監督阪本順治が脚本も書いた本作。今回はナニワ色は封印し、三重が舞台となっている。といっても、阪本作品をこれまで意識したこともなく、タイトルに惹かれてシンガポールから戻りの飛行機のなかで鑑賞。監督も写真家小石清氏の同名の写真展タイトルに惹かれ、いつか自分の作品にも使おうと思ったという。この映画はややキャラクター配置が歪で、冒頭は除隊自衛隊が主人公かと思わせ、結局は父と子の物語に帰結する。映画を観て、書き起こし小説も読んだ。文字でレビューしたくなる一本だ。
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)


◆ハンターキラー 潜航せよ ★★★
 潜水艦ものの傑作といえば、レッド・オクトーバーを追え、を思い出す。トム・クランシー原作のジャック・ライアンシリーズ第1弾で、あの頃勢いのあったダイ・ハードのジョン・マクティアナン監督作品だ。アメリカに向かうソ連潜水艦の意図は、攻撃か、亡命か。限られた情報からCIA分析官ジャック・ライアンが推理する、というもの。本作も、敵味方かわからぬやりとりの危うさがサスペンスを生んでいる。ロシアでクーデターが起きたらしいという事態に、アメリカがなんとロシア大統領救出に向かう、というもの。荒唐無稽な設定も、情報戦と心理戦のうちに引き込まれた。ラスト近くで大事(おおごと)になるのは映画的な処理か。原作も読んだが、こちらはニューヨークで株取引操作を行うロシア人がいたりして、より複雑なものだった。
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)


◆マイル22 ★★★
 マーク・ウォールバーグ主演。この映画もハンターキラー同様、批評家的にも興行収入的にもあまり評価が高くない。サスペンスフルな展開や、マーク・ウォールバーグ演じる主人公のキャラ設定も悪くないけどな。特殊部隊が護送する守るべく人物がやたらと強く、特殊部隊と一緒に戦うという設定はさすがに馬鹿馬鹿しくて笑えた。ただプロットの回収という点ではやや物足りない。
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)

◆スノーロワイヤル ★★★
 怒れる爺を演じたらNo.1のリーアム〈クワイ・ガン〉ニーソン主演。なんと自作のハリウッド・リメイクを自分で撮るという前代未聞の仕事をしたノルウェー人ハンス・ペテル・モランド監督作品。なんのひねりもない復讐モノだが、死んだ後にたつ死亡フラグがバカバカしくて面白い。
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)

◆ターミネーター:ニューフェイト ★★
 これもダメダメだった映画。スターウォーズのファンはお約束の展開でも画面を観ているだけでも嬉しいのだが、ターミネーターのファンはお約束の展開で満足するとは思えない。ちょっと主人公を女にしてみました、ちょっとリンダ・ハミルトンを復活させてみました、ちょっと年をとったシュワルツェネッガーを出してみました、だけではウケるはずがない。今年最大のがっかり作品かもしれない。評判の悪い前作(ジェネシス)と前前作(サルベーション)のほうが数倍いい。
2019年極私的映画ベスト20 その1(圏外)




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Posted by 仲村オルタ at 17:59
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仲村オルタ
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台湾より沖縄復帰後1年で関西へ。まさかの東京暮らしを経て、流れ流れて今は沖縄暮らし。
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