2007年03月07日

最後の美術月評

 2年間地元紙の美術月評を担当してきたが、先月で最後となった。先週末に納品して、本日3月7日に掲載された。個々の評論の部分は紙面に譲るとして、文面の最後に、自戒と同志への激励の気持ちを込めて、僕らしくない熱い文章を書いてみた。

 担当記者からは、まったく同感だと言われた。今回の原稿を、これから月評を書く方への基準と考えたい、みたいなことを言われて気恥ずかしかった。

 それでも、なお創作家は、評論家の言うことなど気にしないほうがよい。面白いものを作りさえすればいいのだ。それがすべてだ。

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 二年間にわたり、四半期に一度月評を担当してきたが、今回が最後となる。この二年間を振り返り、最も強く感じるのは、残念ながら〈停滞〉の二文字だ。

 これは必ずしも、個々の作品や作家の質を問題にしているわけではない。発想、意欲、意志など、クリエイティビティの根幹において、すべてが平均化し、凡庸化し、沈滞している印象を拭えない。誰かのコピーあるいは作家自身の過去のコピーが溢れている。展覧会の会場で、動けなくなるほどの感動を覚えることも殆どない。

 これは評論家のせいでも、マスコミのせいでも、画廊のせいでも、もちろん美術館をめぐる政策のせいでもない。その理由は美術家自身が一番承知しているはずだ。何かを創造するということは、勇気と責任を必要とする行為なのだ。

 最後に、自戒を込めて、すべての美術家に言いたい。

 画家よ、筆を握れ。写真家よ、カメラを持て。すべての創作家よ、自分の武器を手放すな。疾走する機関車の如き、強い意志を持ち続けよ。(仲村オルタ・著述家)

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最後の美術月評

 写真は芸大卒展にて惹かれた作品のうちのひとつ(麻生遥さんのインスタレーション)

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Posted by 仲村オルタ at 21:06
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