2014年10月05日
レニー、殿下とU2
7月にリリースされたレニー・クラヴィッツの新作「STRUT」と、9月末にリリースしたばかりのプリンスのワーナー復帰作「Art Official Age」と、iTunesストアで大盤振る舞いのフリーダウンロードでリリースされたU2の新作「Songs of Innocence」を聴く。80年代から今も変わらず聴き続けているアーティストばかりである。
まずレニー・クラヴィッツ。ロック心のツボを刺激する音にただ嬉しくなる。ちょっとしたリフであり、ヴォーカルのゆらぎであり、ただただ格好いい。考えてみれば、レニー・クラヴィッツというアーティストは、二十年以上この変わらぬスタイルで新作を出し続ける。それでいて、「ああまたか」感が(個人的には)少ない稀有なアーティストだ。この新作も格好いい。また昔の音も聴きたくなる。
プリンスの新作は、古巣ワーナー復帰作で、「昔の音」「若い音」などとレビューがかかれている。確かにアルバムのなかにはハッとするほどの高いクオリティのファンクバラッドなどもあり、時に嬉しい。ただ、これはプリンスがやる必要があるのか、と最近のアルバムを聴くたびにいつも思ってしまう。今回も残念ながらそれを感じた。いわゆる天才時代(1999からLovesexyまで)の音は突出していた。妙に耳に残る変態的なリズム、音密度が極力少ないにも関わらず震えるほど格好いいビートなどなど、ジャンルに特定されない殿下の音があった。それ以降、時代の流行りものをなんとなく取り入れながら変化しつつ、ここまで三十年以上のキャリアを重ねていた。変化することがよいことかどうか、変化しないと思わせて実は変化していることの難しさなど、いろいろと考えてしまう。本作はEDMを取り入れているが、それも成功しているかどうかははっきりしない。どうしても〈天才時代〉と比べてしまうのだ。
3つ目のプリンスは、もうひとつ別にロック色の強いprince & 3rdeyegirlとしてアルバムをリリースしている。こちらは、まだアルバムとしては聴いていない。
U2の新作には、どういわけか2月にリリースされたInvisibleは含まれなかった。こちらも、残念ながら期待した高揚感は感じられない。二十年前とことなり、今やトータルアルバムを出すことは難しいのはよくわかる。デンジャー・マウスと組んだ本作で、U2はいったい何をやりたかったのだろう? POPを出したときの破壊性を期待し、先行したInvisibleではその息吹を感じたのに。アルバムとしてはどこまでもU2の音だが、心配してしまうほど地味な内容となり、新しいファンを呼び起こすような〈身震い〉は残念ながら感じない。アップルが買い取った(アップルに買い取らせた)のはなにか理由があるのでは、と疑ってしまう。
ファンとは実に勝手なものだ。でも、この3組のアーティストについてはたぶんどんな作品を出したとしてもこれからも僕は聴くことだろう。
それでいいじゃないか。
まずレニー・クラヴィッツ。ロック心のツボを刺激する音にただ嬉しくなる。ちょっとしたリフであり、ヴォーカルのゆらぎであり、ただただ格好いい。考えてみれば、レニー・クラヴィッツというアーティストは、二十年以上この変わらぬスタイルで新作を出し続ける。それでいて、「ああまたか」感が(個人的には)少ない稀有なアーティストだ。この新作も格好いい。また昔の音も聴きたくなる。
プリンスの新作は、古巣ワーナー復帰作で、「昔の音」「若い音」などとレビューがかかれている。確かにアルバムのなかにはハッとするほどの高いクオリティのファンクバラッドなどもあり、時に嬉しい。ただ、これはプリンスがやる必要があるのか、と最近のアルバムを聴くたびにいつも思ってしまう。今回も残念ながらそれを感じた。いわゆる天才時代(1999からLovesexyまで)の音は突出していた。妙に耳に残る変態的なリズム、音密度が極力少ないにも関わらず震えるほど格好いいビートなどなど、ジャンルに特定されない殿下の音があった。それ以降、時代の流行りものをなんとなく取り入れながら変化しつつ、ここまで三十年以上のキャリアを重ねていた。変化することがよいことかどうか、変化しないと思わせて実は変化していることの難しさなど、いろいろと考えてしまう。本作はEDMを取り入れているが、それも成功しているかどうかははっきりしない。どうしても〈天才時代〉と比べてしまうのだ。
3つ目のプリンスは、もうひとつ別にロック色の強いprince & 3rdeyegirlとしてアルバムをリリースしている。こちらは、まだアルバムとしては聴いていない。
U2の新作には、どういわけか2月にリリースされたInvisibleは含まれなかった。こちらも、残念ながら期待した高揚感は感じられない。二十年前とことなり、今やトータルアルバムを出すことは難しいのはよくわかる。デンジャー・マウスと組んだ本作で、U2はいったい何をやりたかったのだろう? POPを出したときの破壊性を期待し、先行したInvisibleではその息吹を感じたのに。アルバムとしてはどこまでもU2の音だが、心配してしまうほど地味な内容となり、新しいファンを呼び起こすような〈身震い〉は残念ながら感じない。アップルが買い取った(アップルに買い取らせた)のはなにか理由があるのでは、と疑ってしまう。
ファンとは実に勝手なものだ。でも、この3組のアーティストについてはたぶんどんな作品を出したとしてもこれからも僕は聴くことだろう。
それでいいじゃないか。
Posted by 仲村オルタ at 16:27