2013年02月14日

チャットモンチー @ Zepp Namba

 チャットモンチーのライヴを見た。新しいアーティスト(しかも日本のバンド)のライヴを見ることなんて、何年ぶりのことだろうか。バンド名やヴォーカル橋本絵莉子の童顔の風貌に象徴されるバンドの風体に騙されてはいけない。例えて言うならばチャットモンチーは、可愛らしい着ぐるみを身にまとった凶暴なナイフだ。そして、大げさな言い方ではなく、彼女たち(ふたりになってしまった)は、ダンスミュージックやヒップホップもどきの溢れるこのどうしようもない日本の音楽界で、ほぼ唯一光り輝くロックの可能性であり、抵抗なのだと思う。

チャットモンチー @ Zepp Namba

 きっかけは「満月に吠えろ」だった。
 ツインギターとドラムスだけで構成されたシンプルなメロディとアレンジ、脆くそして凶暴で胸に突き刺さる歌詞、溢れんばかりのロックンロールの初期衝動。僕にとっては遅すぎるチャットモ経験だった。それから何枚か聴いた。ひとつのバンドに盲目的になるほど若くはないが、確かにどれも素晴らしい。このバンドはロック野郎のツボを心得ている。例えば、最新アルバム「変身」に収録された「ハテナ」の「人間は素晴らしい」の直後に挿入される甲高いギターリフなどは、思わずほくそ笑んでしまう。「Last Love Letter」のベース、ドラムス、そしてギターと付加されていくイントロ(しかもドラムスはなんとも変則的で格好いいドラムスだ)や、アンニュイで気だるいロックバラッド「染まるよ」など、思わず立ち止まっておおっと思わせる何かが溢れている。
 ライブは予想どおり素晴らしかった。と同時に、ふたりであることに無理を感じた。ドラムスが抜けてツーピースとなってしまったため、ドラムスが入れ替わったり、ベース抜きの代わりにバスドラを効かせたり、ギターリフのリアルタイム・サンプリングを多様していた。悪くはないし、ふたりで成し遂げようという勇気と強い意志に胸を打たれた。が、ゲストドラマーであるコヤビン(なんと芸人小籔千豊!)が加わって演奏した2曲(シャングリラとLast Love Letter)で、ギター&ヴォーカルの橋本絵莉子とベースの福岡 晃子が躍動する様子をみて、このバンドはやはり三人(構成)であるべきだと感じた。それが自然な姿なのだ。
 ライブが終わって三週間以上経っているが、僕はまだチャットモンチーばかり聴いている。ロックを聴き始めたときに感じた喜びや邪な欲望を思い出させてくれる。希望の光なんてなくったっていいじゃないか(シャングリラ)と唄う彼女たちに、ロックの可能性と抵抗と眩いばかりの光を感じてしまうのだ。

iTuneパーソナルプレイリスト
1.Last Love Letter
2.ハテナ
3.満月に吠えろ
4.シャングリラ
5.ヒラヒラヒラク秘密の扉
6.染まるよ
7.きらきらひかれ
8.ふたり、人生、自由が丘
9.8cmのピンヒール
10.ハナノユメ
11.恋の煙
12.世界が終わる前に
13.橙

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Posted by 仲村オルタ at 00:00
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