2009年09月04日

在外投票

 国交のない台湾は大使館がないので、現地での在外公館投票ができない。
 在外選挙人証なるものを、海外転出した選挙管理委員会(僕の場合は豊見城)から取り寄せて、選挙前にまた送り返すと、比例代表と選挙区の投票用紙が送られてくる。それをまた送り返して郵送で投票する。結構面倒くさい。
 実は前回の参院選挙では1回パスしてしまった。台湾に住み始めてすぐのことで、この段取りまで至らなかったというのがいいわけだ。選挙速報はいつものように見ていたが、どこか他人事のような気がした。そこで今回は解散の噂があった去年の9月くらいから準備を始めていた。

 選挙の結果はすでに周知のとおりである。
 小選挙区制のダイナミズムとリスクが今回も顕著に出た。
 僕は自分では政治信条的にはリベラルだと思っているが、外国で暮らすようになって、日本を憂うようになり、同時に台湾から大陸や日本を見て、愛国心がやや強くなった。更に「バランス」の重要性を強く意識するようになった。
 ネットではバランスを欠く過激な意見が多数見られた。すべての人々の意見が一致することはないはずなのに、自分の意見と違うものを頭ごなしに否定し、耳を傾けようとしない。とても危険だと思う。テロリズムにつながる危険性をはらんでいる。
 また、あるパーティーの別のパーティーへのネガティブキャンペーンCMも、見ている分にはおもしろいが、正面からの主張を避けて、若者に迎合しているようで不快だった。

 もうひとつ。これだけ話題の選挙でも3割のひとが投票しないというのは驚くべきことだ。無力感を感じることがないわけではない。しかし、参加しなければ何も変わらないのも揺らぐことのない現実なのだ。
 選挙の前になるといつも、かつて佐野元春氏が大阪駅コンコースでのライブに語ったことを思い出す。真夜中から夜明けまで行われたライブだ。ここに佐野氏はリズムボックスを持ち込んでひとりでパフォーマンスをした。
「僕はどの政党もどのパーティーも応援しないけど、今日は選挙に行こう」
 まったく同感だ。台湾で1回パスしてしまったことを、未だに後悔している。



 この4年間は日本の民主主義にとって物凄く重要な4年間になるだろう。新しい政権に関するニュースを見ながら、そんなことを考えている。

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Posted by 仲村オルタ at 01:06
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