2011年12月31日

2011年極私的映画ベスト5

 個人的には毎年続けている映画ランキングである。2010年12月~2011年11月公開の映画を対象に、あくまでも個人的に面白いもの、よいものをランキングしてみた。映画も、美術も、小説も、おもしろいかおもしろくないしかない。それが持論だ。
 総じて言えば、監督買いする作品はあまりはずれがなく、期待してついつい見てしまった大作(パイレーツ、トランスフォーマー、猿の惑星など)が期待はずれだった。

第5位 ツリー・オブ・ライフ(監督:テレンス・マリック)
2011年極私的映画ベスト5
 78年「天国の日々」でカンヌ監督賞をとって以来、30年あまりで3本しか監督していない(でも仕事を続けていられる)珍しい寡作監督テレンス・マリックの新作。物語を語ることを放棄しており、ほんとうに交響曲のコンサートにきているかの気分になる。映画にしかできない芸術だと感じた。自分の立場におきかえて物語を読み解こうともしてみたが、それについてはあまり響かなかった。カンヌ映画祭パルムドール受賞。

第4位 127時間(監督:ダニー・ボイル)
2011年極私的映画ベスト5
 スラムドッグ・ミリオネア後のダニー・ボイルの新作。グランド・キャニオンでひとり岩に手を挟まれた男の127時間の物語だ。実話に基づいている。この映画をみて、人生とはささいな誤った判断でかくも劇的に動いてしまうものだ、と改めて思った。個人的にも、ひょっとしたら今こんな映画レビューなどしておられなかったかもしれない、というささいな誤った判断が過去にいくつもあった。人間は学ばなければならない。でも、同時に学ぶことができないのもまた人間なのだ。
http://movies2.foxjapan.com/127hours/

第3位 ソーシャル・ネットワーク(監督:デヴィッド・フィンチャー)
2011年極私的映画ベスト5
Facebook創設者マーク・ザッカーバーグをモデルにした物語。実在の人物を中傷するのでもなく、賛美するのでもなく、おそらくは実在した第3者との関わりでどのような変化が生じたのか、なにを得て、なにを失ったのかを描き出した。この1年間でFacebookは日本でも代表的なSNSとなった。使ってみると随所によくできたシステムだなと思わせるアイデアが溢れている。オスカーは逃したが、オスカー監督賞にも値するデヴィッド・フィンチャーのいい仕事だ。
http://bd-dvd.sonypictures.jp/thesocialnetwork/

第2位 コンテイジョン(監督:スティーブン・ソダーバーグ)
2011年極私的映画ベスト5
 未知なるウィルスによるパンデミックを描いたソダーバーグの群像劇。今更ながら感たっぷりのテーマを、驚くほど冷徹に、ドキュメンタリーでも撮るように、それでいて恐怖映画のように撮りあげた。監督でありながら、自分で撮影もするハリウッドでは唯一の監督だが、こんな芸当はソダーバーグにしかできない。ソダーバーグゆえに結集したものすごい俳優人も、さすがだなと思う演技をする。世界一贅沢でわがままで才能溢れる職人的な監督がつくる完璧なパンデミック群像劇だ。
http://wwws.warnerbros.co.jp/contagion/index.html

第1位 キック・アス(監督:マシュー・ヴォーン)
2011年極私的映画ベスト5
 監督買い作品を押しのけ今年のベストフィルムとなったのは、アメコミ映画原作のキック・アス。日本では2010年12月に、沖縄では2011年3月に公開された。おばか映画に思えて、ストーリーもよく出来ている。安心して観にいくと、これでもかとばかりに残酷で驚く。この映画は倫理的にはまったくお奨めできないが、とにかく面白い。過去のアメコミ映画をリスペクトしながら、ソーシャル時代の新しいヒーロー像を脱力感たっぷりに作り上げた。ヒット・ガール役でブレイクしたクロエ・グレース・モレッツは本当にすばらしい。この映画で一躍メジャー監督の仲間入りをするチケットを手に入れたマシュー・ヴォーンは、メジャー映画「Xメン:ファーストジェネレーション」を撮った。ブライアン・シンガー版Xメンのファンの僕はもちろん期待して観にいったが、こちらは物語そのものが説明的すぎて面白くなかったためか、映画的興奮が少なかった。やはり、良い映画はまず良い脚本、そして良い監督に俳優、ということなんだろうと思う。
http://www.kick-ass.jp/index.html

 2012年は、極私的にはものすごく来たいするバットマン新作「ダークナイト・ライジング(The Darkknight Rises)」が公開される。ああ、自分はアメコミものがすきなんだな改めて思う。

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Posted by 仲村オルタ at 18:18
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台湾より沖縄復帰後1年で関西へ。まさかの東京暮らしを経て、流れ流れて今は沖縄暮らし。
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