2009年02月22日

ワルキューレとチェ

 トム・クルーズ主演ブライアン・シンガー監督の「ワルキューレ」をみた。
 ブライアン・シンガーも「ユージュアル・サスペクツ」をみて以来、監督買いを続けている映画監督である。いまでは、すっかりXメンシリーズのイメージが強いが、かつて潜伏するナチス戦犯をめぐり少年が暴力に目覚める映画「ゴールデンボーイ」も撮っていた。ユダヤ人である彼にとって、ナチスをめぐる物語は人生を通じてのテーマなのだろう。

ワルキューレとチェ

 物語は、ヒットラー暗殺を企てたシュタウフェンベルクらの物語だ。事実に基づく話なのだが、映画はこの男を描きたいのか、作戦のスリルを描きたいのか、xメンばりのアクションを描きたいのか、焦点がはっきりしないものとなってしまった。この映画のおかげで僕は歴史の重要な人物を知ることができたが、残念ながら映画である以前に、物語としてのおもしろさに欠けてしまった。

 1月末に日本で「チェ」二部作をみた。監督は監督買いの監督のなかでも目標としたいと思う映画作家スティーブン・ソダーバーグだ。この映画も歴史上の有名人物であるチェ・ゲバラを描いているが、ワルキューレとは対照的に、ドキュメンタリーのように淡々と描かれる。音楽もほとんど挿入されない。この映画は盛り上がりもなく、装飾もないために、映画的な快楽には欠けたが、それでも合計4時間半あまりスクリーンから目を離させない一貫した映画づくりの信念が感じられた。「39歳の別れ」のラストのエンドタイトルがおそらく五分あまり無音のまま流れていく画面を見て、この余韻にチェ・ゲバラを振り返らせることが、ソダーバーグの最大のねらいだったのではないかと思った。映画史上、ほかに例を見ないエンドタイトルだろう。台湾では、エンドタイトルが始まると同時に劇場の電気がついて、客もみな席を立ってしまうので、この余韻を味わうことはできないだろうが(2009年2月末現在、台湾ではまだ公開されていない)。

ワルキューレとチェ

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Posted by 仲村オルタ at 18:12
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