2006年05月24日

【インド旅行記07】トラブル(未遂含む)事例集

 インドで出会ったあるいは出会いそうになったトラブルについて、あれこれ何度かに分けて書いたとしても、たぶん面白くないので、今回一気に書いてしまおうと思う。少し長文。

【インド旅行記07】トラブル(未遂含む)事例集

 ヴァラナシでは、作家的興味ゆえに、自ら少し危険に飛び込んでいったし、そのために騙されたこともあると思うけれど、自業自得なので、これはカウントしていない。


①デラックスバス事件

 飛行機が遅れたために、デリーに戻ったときには外国人専用窓口なるオフィスが閉まっていて、次の日のアーグラー行きの鉄道チケット購入ができなかった。そんなときに声をかけてきた旅行社の男に、怪しいなと思いながらもしぶしぶ着いていって、案の定騙された。これが明確に騙された1回。

 まずは親切そうに電車のチケットを手配するという。お金も高くない。定価のような気がする。それで信頼させておいて、結局電車は予約でいっぱいでキャンセル待ちが出ていて、乗れるかどうか分からない、という。でも、バスなら予約はとれる、と言ってのける。

 慌ただしい旅行者である僕には、次の日しかタージマハルを見るチャンスはない。此処を出て冷静に考えようか、あるいは唯一のチャンスかもしれないので、納得するか。疲れて機能しづらくなった頭は後者を選択してしまう。

 翌日少し遅れてバスはちゃんと来た。アーグラーへは予定時刻よりも2時間あまり遅れて着いた。電車なら2時間あまりのところ、合計5時間あまりもかかった。

 バスに乗っているのはインド人家族ばかりで、僕が払った金額見合いの乗客にはとても見えない。デラックスバスというが、デラックスのデの字も感じられない。 アーグラーで僕ひとりが降りて、バス会社の手配するオートリキシャのガイドに引き継がれた。このガイドのチャージは含まれているという。ガイドは人の良さそうな男だ。会ってまもなく男は言う。「どうしてバスなんかで来たんだ?」「電車が予約でいっぱいだった」「そんなはずはない。あいてるよ。帰りのチケットをとってあげようか。バスなら夜中、電車なら10時にはデリーに着く」

 自分がほとほと情けなく思えたけれど、タージマハルは見ることができそうだし、まあ帰りが電車ならそれでよいかと思うしかなかった。

②宝石運び屋事件
 このオートリキシャのガイドの男は、一見親切そうだったが、後から考えると、最初からシナリオをすべて知っていたようにしか思えない。

 タージマハルの後、時間的にはアーグラー城へ行くこともできるのに、大理石の店や、テキスタイルの店に連れて行く。土産物屋では、ボリウッドのDVDを手に入れたし、まぁいいかと思っていたら、最後に連れて行かれた場所は、帰りの鉄道チケット受け取りのための旅行社だった。

 もちろんなかなかチケットは出てこない。入れ替わり立ち替わり男がやってきて、日本人にどれほど友人がいるか話し始める。そのうちのひとりは宝石デザイナーだという。奥にいろいろあるので見て欲しい、という。チャイはいるかとすすめられるけれど、薬物が気になるし断り続ける。そこで持ちかけられる。我々が日本に宝石を持ち込むと関税がかかる。オマエが運べば、非課税枠で持ち込める。商品を運ぶだけで、○○円(金額忘れた)の報酬を保証しよう、という。

 もちろんその気になることはない。頑として拒否しつづけると、諦めたのか帰りのチケットがようやく手渡された。列車に乗るまでは、これが本物かどうか心配だった。

③オートリキシャ、リキシャの運転手など
 メーター料金なんてない。だから最初に交渉する。なかには、As u likeというワーラーもいるが、これを信じると,
ろくなことはない。ヴァラナシで数カ所案内してくれたリキシャワーラーにまあこんなもんだろうという額を渡したら、「こんなに手にマメができるまで一生懸命やったのにこの額か」と文句言われた。デリーでも、なにやら難癖をつけて、最初に約束した額よりも、なんとか多く分捕ろうとする。

 そのときの対処方法は、とにかく怒鳴ることだと気づいた。英語と関西弁を織り交ぜると効果的。断固たる態度で臨むと、相手はいつか折れて、結局最初の額になる。

 ゲストハウスのチェックアウト時にも、バス事件で騙した旅行社発行のバウチャーには税金が含まれていないとフロントの男が言い出した。中級ホテル以上しか税金はかからないことを知っていたので、強く、大声で、怒鳴ると、あっさりok,u can goと言われた。地球の歩き方がこんなに役だった国もない。知識だけではだめだし、それを明確に強く主張することが肝要だ。

④ニセJAL職員事件
 短いインド旅行も最終日を迎え、21時10分フライトのため、かなり早めに空港へ向かおうと、デリーの中心部コンノート・プレイスのリムジン乗り場に出掛けると、その時間のバスが運行停止になっているという。看板には確かに書いてある。運行停止になった午前便バスは消されているのに、僕の乗りたかった17時発は消されていない。事前に確認して来たわけじゃないので、文句を言ってもしかたないけれど、これまでの数々の詐欺もどきにうんざりしていた僕は、怒りをおさえられず、それならちゃんとこの看板を消しておけ、と抗議した。

 タクシーをどこで捕まえようか考えていると、リムジンのカウンターの男が追いかけてきて、他のリムジン乗り場に案内するという。胡散臭いなと思いながら、まだ時間に余裕があったので、ついて行ってみる。冷房の効いた旅行社の建物に入った瞬間に、これはおかしいと直感した。

 パスポートと飛行機チケットを見せろ、という旅行社の男に思い切り警戒心を露わにして、またゴルゴ風に「その必要はない。空港行きのバスに乗りたいだけだ。バスはあるのか?」といってみせるものの、「17時30分にバスはある。そのために必要な手続きだ」とインド人の男は食い下がる。しぶしぶ、パスポートとEチケットの写しを出す。相手にすべて手渡さない。特にパスポートは常に手をかけておく。もちろん、重いバックパックは背負ったまま対応する。

 すると旅行社の男は頼みもしないのに、リコンファームのようなことをしはじめた。そして、オマエのチケットはキャンセルされている、今電話口にJALが出てるから、それを話してほしい、という。

 そのときには既に、これは詐欺の手口と分かっていた。いちおう電話を替わると、男の声で事務的にあなたのチケットはキャンセルされて云々と言う。キャンセル言うても、これはマイレージの特典やし、そんなはずあるかいと思うと、やがて笑いが込み上げてきた。電話の男はグルだ。せめて女性を雇えばいいのにと思う。

旅行社の男「何がおかしい?」
おる「これはJALの人間じゃない」
旅行社「何をいってる?」
おる「もういい」

 席を立ち上がると、旅行社の男は机を叩いて、待てと言う。出口まで何人か男が座っていたけれど、手は出してこなかった。振り切るように外に出た。
 街に戻ると、オートリキシャはたくさん出てるけど、オートリキシャで行くには少し空港は遠すぎる。ほんとに空港にたどり着けるかな、と少し心配になる。話しかけてくるオートリキシャ・ワーラーに空港まで行けるかと念のため訊いてみるけれど、何人も断られた。
 四人めくらいのオヤジが200ルピーで空港まで行くと言ってくれた。ほっとしてオヤジのオートリキシャに乗り込む。
「いいお茶屋がある。みやげ買うのによらないか」走り出すと、オヤジは言った。
 悪夢はまだ続いているのである。

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Posted by 仲村オルタ at 23:28
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台湾より沖縄復帰後1年で関西へ。まさかの東京暮らしを経て、流れ流れて今は沖縄暮らし。
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