満月に吠えろ、この歌をとめるな

仲村オルタ

2012年03月20日 06:32

 音楽に対して保守的になるつもりは毛頭ないのだが、年を重ねるごとに、だんだん新しい人を聴かなくなっていくのもまた事実だ。かつてよく聴いたアーティストの新作ばかり聴くようになる。
 また、ベストヒットUSAにアヴリル・ラヴィーンがゲストででていたときに、小林克也とともに、「最近のチャートはダンスミュージックばかりでロックがない」と嘆いていたが、確かにそうだなと僕も激しく同意した。オルタナティブやインダストリアルを聴くようになったのは、たぶん三十後半からだろうが、自分のなかでの知らず知らずのうちに音楽が保守化することへの本能的な抵抗だったのかもしれない。
 チャットモンチーというバンドはそのインパクトある名前から知っていたが、これまで聴いたことはなかった。
 なんかの機会に偶然見た「満月に吠えろ」のPVに引き込まれ、音楽を聴き、歌詞に涙する。まだまだ、日本のロックも捨てたものじゃない。最近(といっても10年ほど前だろうか)ではくるりの「ロックンロール」を初めて聴いたときのような衝撃が走った。意志と魂と力に満ちたこんなロックを、若い世代にも聴くチャンスがあるなら、おそらくは新しい世代にもきちんとした耳と精神が育つだろう。


 
荷物を乗せて走り出す 夜は永いだろう
目の前飛び出た丸顔の月
さまよう旅人おどかして 過去のメダル気取り

きみは何を感じてる? 大丈夫はもう誰も言わない
だから行くんだろ 行くんだろ

満月に吠えろ 隠したその牙で
満月に吠えろ 悲しみ越えてゆけ
満月に吠えろ この歌をとめるな

噂のように駆け抜ける 朝はまだ来ないだろう
目の前広がる顔のない空
さまよう旅人気がついて 残ったメダル飲み込んだ

きみは何を信じてる? 変わらないはもう誰も言わない
だからもういいよ もういいよ

満月に吠えろ 転がる石になれ
満月に吠えろ まだ見ぬその先へ
満月に吠えろ この歌をとめるな
(チャットモンチー「満月に吠えろ」 作詞:福岡晃子)



 この歌を聴いて、そろそろ俺ももう一度動かなければ、と強く感じた。4月にリスタートだ。

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