開鬼門

仲村オルタ

2007年08月13日 21:00

 台湾では、農暦(旧暦)7月のことを鬼月ということを知った。
 鬼とは、幽霊のことだ。
 今日7月1日は、地界の門が開く「開鬼門」だ。門が開くと同時に、先祖の魂や供養されない邪鬼(好兄弟と呼ぶ)がわさわさと出てくる。この一ヶ月間、人々は祈り、そして供養を行う。新しいことを初めてはいけない。結婚などもってのほか。引っ越しや旅や大きな買い物もタブーとされる。夜に洗濯物を干したり、椅子を外に出しておいてはいけないとされる。水に引き寄せられ、好兄弟が取り憑いたり、誰もいない椅子に好兄弟が座ったりするのだ。
 お盆が1ヶ月続くと思えばいいのだが、「開鬼門」というと、視覚的イメージを喚起させる。



【鬼月の説明】
 民間の言い伝えによれば、地府は7月1日に鬼門を開き、陰間のすべての魂が陽間に戻ってくるそうです。しかし、魂の中には、陽間に戻っても、帰る家がなく、あちこちさ迷う魂もあり、迷える魂に邪魔されないよう、各家では入り口に香を供え、紙のお金を燃やし、豪勢な料理を振舞って、帰る家のない魂に捧げます。7月の最後の日の鬼門が閉まる時刻になると、道士が召喚の儀式を行い、鬼門関に追い返します。言い伝えでは、この期間、幽霊に会わないようにするには、外出しないするのが一番だとされています。幽霊たちが先を争うように人間界をさ迷っており、幽霊にばったり出くわしたり、不注意でとりつかれたりすることがあるからです。でも、基本的に、台湾の鬼月は、慈悲の角度から出発しており、祖先の魂を慰めると同時に、後代の子孫の平安を守ってくれるよう願うものでもあるのです。
youth travel in taiwanより

 鬼月という言葉を知って、沖縄にいる友人の作家のことを思い出した。久しぶりにメッセージを送ってみる。僕のイマジネーションも刺激されている。彼の得意分野ではあるが、僕も台湾にいる間に、鬼月の物語をひとつ書いてみようかとも思っている。

関連記事