トリ占いおじさん

仲村オルタ

2007年04月27日 09:00

 道教のお寺・行天宮近くの地下通路は占いの店が軒を並べていることで有名だが、その通路にときどきトリ占いおじさんが出没するというので行ってみた。

 おじさんは居た。怪しげな日本語で話しかけられる。トリ占いの料金は300元(約1100円)。封筒に入れて、神様に供える。トリ(文鳥か)は、籠の中でパタパタと羽根をばたつかせている。写真を撮るのはちょっと待てと止められる。まず、名前と生年月日を紙に書かされる。

 占い方法は、タオ文様が中央に書かれた円盤に挟んである赤い布を鳥に引かせ、その赤い布に書かれた数字によって選ばれる札に書かれた絵(おじさん手製)で未来を占うというもの。

 鳥はすぐには赤い布を引こうとしない。側においてある餌のほうに寄っていってしまう。あたりまえだ。鳥だって、ヨレヨレの赤い布より餌が欲しい。何度も何度も鳥を籠に入れては出して、無理矢理赤い布を引かせようとする。その様子があまりにも滑稽で、既に僕は笑いが止まらない。



1枚目 大金持ちになる
2枚目 妻にお金は預けなさい
3枚目 子供はあなたより出世する

 いつまでやるんだと思った4枚目は「交通事故にあう」というもの。もしこれを避けたければ、一生有効のお守りを1000元で買いなさい、とおじさんのたまう。



 ここまできたらインチキ臭いを通り越して、ただただ馬鹿馬鹿しくておかしい。おそらく、悪い札が出るまで占いを続け、誰にでも1000元のお守りを売りつけているに違いない。最初に書いた名前と生年月日はどうなったんだ? そう思いながら、「うん、気をつけるよ、ありがとう」と言い、僕は席を立った。

 とはいえ、交通マナーの悪いこの台北で交通事故は十分にあり得ることだ。気をつけるに越したことはない、とそれだけは素直に思った。

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